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【特集】ベンチャー企業インタビュー【ハルメク・ベンチャーズ株式会社様】(掲載日:2019年9月27日)

ベンチャー企業インタビュー【ハルメク・ベンチャーズ株式会社様】

InnoHubでは、起業前の個人の方から、既存事業を拡大するための手段を考えている方、新しい事業を考えている方、様々な方からご相談をいただいています。

これまでInnoHubにご相談いただいた方のこれまでの歩みや、どんな考えでご相談してみたのか、どんな感想をもたれたのかという内容は、これからご相談を考えている方、サポーター団体の方それぞれに非常に参考になる情報なのではないでしょうか。

ということで、今回のInnoHubジャーナルでは、ベンチャー企業へのインタビュー第一弾として、ハルメク・ベンチャーズ株式会社 代表取締役社長 松尾尚英様にお話しを伺いましたので、その内容をお伝えしたいと思います。

ハルメク・ベンチャーズ(株)代表取締役社長COO 松尾 尚英 様
同社の前身であるフィフティ・プラス・ベンチャーズ(株)へ、執行役員/ヘルスケア事業責任者として2015年に入社。
主に予防医療領域の新規事業創造、事業推進を行い、自宅で疾病リスクを検査でき、在宅医師をネットワークし、健康相談をワンパッケージで受けられる郵送型検査サービス「おうちでドッグ」を開発。
現在さまざまなパートナー企業との提携を進めている。当サービスをはじめ、簡便にヘルスチェックができるサービスを開発中。18年1月より現職。
医療ベンチャーの業界団体である「一般社団法人日本医療ベンチャー協会」の代表副理事を兼任。


ハルメク・ベンチャーズさんのこれまで 

―ハルメク・ベンチャーズさんは、どんな事業を展開されているのでしょうか。

立ち上げ当初は色々と模索していましたが、現在は、「おうちでドック」という郵送検査のサービスをダイレクトTo CとB to B to Cで行っています。
特に企業と連携をして、例えば保険会社やフィットネスクラブ、福利厚生を目的とした企業等向けに事業を行っています。
販売や付帯することで、自社サービスの価値を高めたり、収益源としてとらえて頂いたり、未受診者の一次介入やリスクのカバー範囲向上といった意図でご活用頂いています。

InnoHubに相談しようと思った背景は、今後新しいサービスを開発していく中で、既に動いている座組等もある中で、私たちが気づいていなかったような企業・団体の方が興味を持ってくださる、アカデミアと組めるような余地があるのであれば探しておきたいということと、またハルメクという会社はグループを含めると100万人くらい50代から80代位のシニア女性のアクティブなデータベースがあり、フィールドとして使いたい、コラボしたいというニーズがあるのか確認したい、といった理由からです。

―実際にマッチングした企業とお会いしてみてどうでしたか?

当社としてのアンメットなニーズがいろいろあるな、というのが総じての感想ですね。
あと、ここ数年ヘルスケアの事業を進めてきた感想としては「一社ではできない」というのが結論で、コラボしたり、オープンイノベーションという文脈だったり、エビデンス作りのフィールドだったり、何かしら協業しないとうまくいかない。
その「掛け算」を自社のネットワークだけで作るのは難しいので、それをサポートいただけるInnohubという環境はありがたいと思いました。

―ハルメク・ベンチャーズさんの、立ち上げから今までの流れはどのようなものだったのでしょうか。

親会社のハルメクは定期購読として申込いただいた雑誌と通販カタログをご自宅にお送りし、お買い上げをしていただき、定期購読や通販購入を機に会員化して様々なマネタイズを行うというビジネスモデルですが、過去は会員に対して単純な物販しかしていなかったので、新たなマネタイズの手法として健康系のビジネスとIT的な切り口で何かできないかということがあり、ハルメクの新規事業企画室からスピンオフしで出来た会社がハルメク・ベンチャーズです。
ですので、立ち上げ当時はハルメク購読者向けのヘルスケアサービス、例えばシニア女性がかかりやすい疾病をカバーするような人間ドックメニューを健診施設とコラボして作り、紹介するようなビジネスをやっていましたが、ハルメク以外にもビジネスをやりたい、それならば外に通用するようなサービスにしなければと思いました。

過去はハルメクの会員向けに郵送検査サービスの単純な販売を展開していましたが、検査結果は検査会社から送付するモデルで、検査結果の問い合わせなどが親会社の受注センターに多数入るような有様でした。
検査だけだと片手落ちで、検査の本来的な価値は「動機づけ」であり、そのための「理解促進」までサポートする必要があると、検査をやった後にお医者さんに相談してもらい腹落ちしてもらう、という行動変容までのワンストップのスキームを搭載した「おうちでドック」を作ろうということになりました。


とはいえ当時は薬機法に強い弁護士も顧問契約していなかったですし、もともと私はビジネスサイド、とりわけ新規事業立ち上げと推進に強い人間で、医療関係の知見は乏しかったので、「こういうサービスだと便利だよね」ということを中心に考えてしまい、実は法律違反になりうるということもあって。
アドバイザーがいる・いないで事業の効率が全然違うので、当時InnoHubや厚労省が推進する相談機関MEDISOのような窓口があったら絶対相談していただろうなと思います。

ヘルスケア業界全体が盛り上がらないと意味がない

―メディカルやヘルスケアはサービスの線引きが難しい業界でもありますよね。私たちInnoHubは直接判断できる立場ではないですが、「これはグレーゾーン解消制度に該当するのか?」「そもそも経産省に相談していいのか?」というご相談をいただくこともあります。

今現在は事業を進める中で様々な人とご縁が繋がったりする中で経産省や厚労省にも「相談できるじゃないか」と気づきましたが、特に立ち上げ当時はすごく構えていた部分もありました。
「これは法律違反だ!」といって目をつけられてしまうのでは…とか、完璧な回答をもっていかないと確認もできないのでは…と考えていたりして、すごく余計なコストがかかっていたな、と思います。

他の業界だと法的な論点というよりも、市場性とかビジネスモデルの話が中心ですが、医療系だとSWOTでいうところの「脅威」が法的な面で圧倒的に多い。
実は、別のベンチャー企業さんから「郵送検査でこういうことをやりたいのですが・・・」という相談を個別に受けることもありますが、基本的に相談事項は全部教えてあげます。

―競合となりうる所にそういった情報を提供するのって不思議な感じがしますね。

業界全体盛り上がらないと意味がないので。ヘルスケアって難しい業界じゃないですか。
特にメディカルじゃなくヘルスケアの分野でマネタイズできている企業はなかなかないですし、ヘルスケアそのもので稼げる状態にするには業界全体でボトムアップして、市場ができていかないといけないなと思っています。

―ボトムアップしていくという意味で、InnoHubのように国が作った仕組みが使えるのではないかな、ということでしょうか。

国がこういったことを考えている、といった文脈を掴めるのではないかな、と思います。こんなところに予算つけるのか、とか。
予算を取りに行くノウハウについてもアドバイスをもらったほうが効率的だと思いますし、そういった意味では相談窓口があるという環境は、恵まれた環境なのだろうな、と思います。

「こういうことをやりたい」が明確にほしい

―「一社では難しい」というお話があったかと思いますが、InnoHubのサポーター団体を含め、大手の企業に期待していることはどんな事ですか?

B to Cだと顧客が納得してくれないとお金を払ってくれませんが、大手の企業だと別の文脈で我々のサービスに対価を頂ける可能性があります。例えば自社サービスを向上させるためにサービスを付けよう、とか。
そうするとエンドユーザーの末端購入価格が0に近づく。経営努力として末端価格をどう下げていくか、ということももちろんやっていますが、今のヘルスケアの世界では、意思が一致した企業さんとコラボすることがサービスを広げるためには速いと思っています。

そのマッチングは自社単体のネットワークだと、そもそも気づいてもらえない・リーチできないことがあるので、InnoHubのような均質なマッチングの場があるとより気づいてもらえるのではないかと思います。

―企業の方とお話しされる中で「こういう企業・担当の方だとやりやすい」というのはありますか?

「こういうことをやりたい」「社会にこういうことをしたい」というのが明確にあると、それに対して僕らが支援できるのはここだな、とか、逆に協力してほしいのはここだな、というのが一致してくる感じですね。

―目的がはっきりしていると、「合うか合わないか」がはっきりしてくるからやりやすいということですよね。

こちらもベンチャーでリソースは有限なので、「いいから来てくれ」と言われても困ってしまうじゃないですか。「いつまでに何をしたいのか」というのが大事だと思います。
あとは、この業界についてきちんとわかっている、理解しようとしてくれる人がいいかもしれないですね。そのパーツが足りないからいっしょにやろう、という話になりやすいですし。

ベンチャー同士の横のつながりを作るには

―企業とのつながりという観点もある一方で、ベンチャー同士の「横」のつながりはどう作られているのでしょうか。

ほとんど人伝てですね。狭い世界なので、どこかで見たことあるな、という感じで話してみると「やっぱり○○さんですよね」みたいな。
ただ、本当のアーリーステージのベンチャーだと勉強会に行ってちょっとずつ繋がっていくしかないのかなという形ですね。単純なネットワーキングイベントというよりも本当に興味のあるテーマのイベントや勉強会に行くと、当たり前ですが話は盛り上がりやすいですし良いのでは、と思います。
こちら側としては、アーリーステージのベンチャーの方の話を聞いて「あそこにいるあの人をつないだらいいかも」と思った場合には「ちょっと挨拶してみます?」という形で繋ぐことはよくあるので、リアルな場があるとよいかなと思います。

―本当は設立して間もない企業の方や個人の方こそ、掘り起こしが必要なのだろうと感じています。

アーリーなベンチャーをどう支援するかは業界発展の上でものすごく重要な事なのだろうな、と思います。最近、業界のベンチャーが集まる勉強会とかでも「初めて見た」という会社はあまりいないんですよね。でも当たり前だけど絶対に生まれているはず。
今話をしていて、例えば設立2年未満のアーリーベンチャーと設立前の個人を対象としたミートアップイベントをやったら面白いかも、と思いました。

最後に

―最後にあらためて、InnoHubに期待することはありますか?

我々が持っている知見・ネットワーク・市場をベン図として考えた際に、InnoHubの輪が重なっていないところも確実にあるだろう、と考えていたことがInnoHubに相談した大きな理由でした。
実際に反応があったのも今までない方々からだったので、ありがたいなと思いましたし、一度のご相談で終わるのではなく、常設的に相談できる窓口があるため、「次はこのタイミングで」といったように、継続して相談できることは今後も期待しているところです。

人によって成果の定義は違うと思いますけど、私としては事業が効率よく成就することが成果の定義なので、成果としてはまだこれからですが、現時点では相談してみてよかったな、と思っています。
いくつか事業を行う上で選択肢がある中で、InnoHubを使うことによってより良い選択が出来るといいな、と思っています。


いかがでしたでしょうか。InnoHubに対する期待も、今後の示唆も頂けました!
今後もInnoHubにご相談いただいたベンチャーの方や、まだ相談いただいていないベンチャー、サポーター団体の方、様々なステークホルダーのお話しを聞きながら、InnoHubとしても様々な取組みを企画実施したいと思います。
何かお気づきの点やご意見などありましたら、ぜひInnoHubまでご連絡いただければと思います。