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【特集】ベンチャー企業インタビュー【株式会社ウェルモ様】(前編)

ベンチャー企業を立ち上げるにあたって、それぞれの会社の方がビジョンを持って取り組まれているのではないか、と思っています。
一方、そのビジョンを達成しようとすると多くの人を巻き込み、場合によっては国に働きかけないと達成できないということもあるのではないかと思います。

今回のInnoHubジャーナルでは、ベンチャー企業へのインタビュー第二弾として、
JHeC2019ファイナリストでもある、株式会社ウェルモ 代表取締役CEO 鹿野 佑介 様にお話しを伺いましたので、その内容をお伝えしたいと思います。


株式会社ウェルモ 代表取締役CEO 鹿野 佑介 様

大阪府豊中市出身。大学卒業後、人事領域のITコンサルタント後、東証一部上場企業人事部にて勤務。
介護現場のボランティアで感じた問題意識から2013年に株式会社ウェルモを設立。
経済産業省、厚生労働省、総務省、各介護支援専門員協会等にて多数講師を務める。
2018年、Forbes JAPAN NEW INNOVATOR 日本の担い手99選に選出。
ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2019にて最多受賞。


―まず、はじめにウェルモ様がどういった会社かをご紹介いただいてもよいでしょうか。

ウェルモは幸せにフォーカスしたいと思って作った会社で、社名の「WELMO」自体が「welfare」と「more」をくっつけて作っていて、ビジョンを「愛を中⼼とした資本主義のつぎの社会を描く」としています。
個の欲の需給バランスで人のモチベーションを外圧的にハンドリングする資本主義から、社会全体で「人のため」といったインセンティブのベクトルが外向きに設計された資本主義のつぎにバージョンアップしたほうが人間の心的に幸せなのではないかと思っています。見えるKPIに本質を求めた結果、形式と本質とがひっくり返っている状況をもっと人らしくしたいという想いが一番の根底にあります。
資本主義の帰結として、少子化になり標準化され地方が切り捨てられていく流れではなく、小規模でも文化や人の気持ちなどが残ったほうが、多様性があって面白いと思っています。そうした資本主義社会のひずみが社会課題となるので、ミッションを「社会課題をICTと先端技術の力で解決する」としていて、基本的に少子化・高齢化の2つの領域でICTによって現場の負担を下げつつ利用者の満足度・幸福度を向上することにトライしたいと思っています。そういった課題意識から元々ITコンサルでしたが、辞めて介護現場に入って現場のリアリティを知った上で現場、ICT社会実装から政策までの一気通貫で社会課題の解決をやろうと思ったのが元々の発端です。

IT的に言えば空中戦で終わらせたほうが楽ですが、介護は医療と違って人の「生活」になるので、地域によって文化も違うし介護保険内外などの地域資源の発達状況も違う。「生活密着」となったときに情報や知識をテクノロジーでその地域を支援しようとすると文化の背景を知っておかないと色々狂ってしまう。なので、システム化するときも現地の人と対話を繰り広げながら地域に根付いたプラットフォームを作っていくということに重きを置いていて、基本的に展開地域ごとに支社を置いて地域密着で顔の見える関係性を作るスタンスを取っています。
全てをデジタルで完結させられるわけではないので、「デジタルとアナログをどうハイブリットさせるか」と「ベンチャーとしてのスケーラビリティ」をどう融合させていくかが、うちの面白いところでもあり、めちゃくちゃ難しいところでもあります。人を使わずwebだけでスケールさせるようなモデルが好きな方もいらっしゃると思いますが、弊社はROIとかではなく、社会課題を解決するためにやっています。

ただ社会課題は一社で解決するには大きすぎます。様々な会社さんとオープンイノベーションをしましょうということで、例えば、高齢化する社会においてITを馴染ませるにはLINEさんのコミュニケーションインターフェースとか、IoTなどセンサー・ハードの会社だとコニカミノルタさんや、事故防止というリスクヘッジの観点であいおいニッセイ同和損害保険・・・といったように、全員の力を結集させて社会課題解決をやるぞ、と考えています。
(参考:ウェルモが11.7億円の追加増資を実施、あいおいニッセイ同和損害保険やコニカミノルタなどとのアライアンスを締結

中長期的に、本質的に同じ方向を向けるか

―こういったアライアンスは、「必要だ」と謳う人は沢山いますが、利害関係などで同じ方向を向く状況を作ることが難しいのかなと感じています。「どのように一歩を踏み出せばよいのか」といったヒントがいただければ。

例えば、資本業務提携の契約においても、シナジーがある限り利害一致はするはずなのですが、商材・近視眼的な方法論ありきで短期的利益を求めると本質が飛んで、短中長期の投資における資源配置のトレードオフが壊れると思っています。「数字をこれくらい上げろ!」と管理側がガチガチにやると、結局数字をつくるための事業になって本質が分からなくなり、それを感じたお客さんからの信頼が吹っ飛んで何もできずに空中分解する・・・。これは管理側主導による業務提携の最低な例だと思います。
ですので、うちは管理側ではなく事業開発をする担当者、もしくは担当役員、もしくは社長クラスとがっつり「こういう世界をつくりたいよね」と、短期的な利益ではなく中長期的な社会課題解決に対して、ビジョンを共有した上でお互いがWin-Winになるようにコミットすることを握り、管理体制も会議体も契約書の作りも、当初のコミットメントに沿った意思決定ができるように立て付けています。出資がもらえるからと言って安易に「管理側がこういっている」それが条件だというのを飲んでしまうと結局ハンドリングが効かず最終的に部分最適解に振り回され誰も得をしないと思っています。
そういった意味で大企業であっても同じ目線でフラットに出来ているのは良かったなと思っていますし、逆にいうと、「この人は短期利益を見ているな」とか、「社内政治の都合でやっているな」と思った瞬間心が離れます。本気じゃないので最終目的地まで続かないです。
結局、中長期的に本質として同じ方向を向けるかどうかがオープンイノベーションをやる上で重要だと思っています。

実は投資家についても同じだと思っていて、起業家で株主に対して猜疑心を持っている人なんかは、株主側からすると余計に管理したくなって負のループに陥ってしまいます。どちらかが心を閉ざしたらパートナーシップは壊れるので、起業家側も「株主だから」といって警戒しないほうがいいし、パートナーとして透明性は確保して困ったら素直に相談すればいいと思っています。
人と手を組むことの本質は信頼関係だと思いますが、そこを形式に持ち込む人があまりに多いと感じています。何のためにやっているのか分からない月次報告をやって「報告しているからいいじゃないですか」と不信感を買ってしまう経営者もいたり・・・。勿体ないです。ベンチャーはアップダウンあるからこそ、金融機関とは文化が違うので難易度は高いもののしっかり向き合うことが大切だと思っています。

―最初からその境地に至るのは難しいのかな、と思えるのですが、最初は警戒心があったけれども打破してきたというステップはあったのでしょうか。

実は私のバックグラウンドとしては大学で金融専攻で、投資銀行やファンドにインターンに行っていた経験などもあってVC側の目線や論理も分かるので、そちらの気持ちも考えた上で進められたということがあります。
お金の出し手がいないと事業ができないですし、投資家と起業・事業家は単純に役割が違うだけだと思っています。それぞれの仕事・役割が違う中で相手を思いやる気持ちで歩調を合わせていくということが、ある程度起業の時から分かっていたので、シードの中でも投資家ときちんと信頼関係の構築が出来て、本当に困ったときに詰められずに助けてくれるという良いパートナーシップを作れたのではないかと思っています
私は株主のことは「社外」と思ってなくて、「ミッション・ビジョンに共感してくれているので、社内社外関係ない」というスタンスが非常に大事だと思います。弊社の株主は本当にいい方が多いと感じていて、株主会でも応援の言葉を常にいただきますし、みんなどうしたらいいのかということを本質的に考えてくれると感じています。


後編に続く