【特集】Healthcare Innovation Hub 開設記念フォーラム(掲載日:2019年8月1日)

※メーラーが立ち上がらない場合は、メールにて TOKInnoHub@bcg.com まで送信ください。
※メーラーが立ち上がらない場合は、メールにて TOKInnoHub@bcg.com まで送信ください。
ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト(JHeC)2021 アイデアコンテスト部門でグランプリを受賞された東京大学大学院 竹内 雅樹(たけうち まさき)さんに、JHeCに参加した感想や現状についてお話を伺いました。
竹内さんは、声を失った人々が日常生活で何不自由なく話すことのできる社会を実現することを目指し、「失われた声を取り戻すデバイス Syrinx」のアイデアを着想し、現在開発を進められています。
竹内 雅樹 さん
目次
JHeCは、大学で参加した起業プログラムの講師だった方でJHeCにも関わっていらっしゃった方がFacebookでイベントをシェアされていたのを見て知りました。喉頭がんなどで失われた声を取り戻すためのデバイスとしてSyrinxの開発を始めたということもあり、社会課題を解決する製品を世に出していくためにも以前から官とのつながりを得る機会がほしいと思っていました。国が主催するビジネスコンテストへの応募は初めてでしたが、JHeCは経済産業省が主催ということで、国の方が自分のアイデアをどう受け取るのか、どう感じるのかを確かめる機会になるといいなと思って応募しました。
自分の事業計画やプレゼンテーションをブラッシュアップできたことが、参加して1番良かったことです!
一次プレゼン審査、アクセラレーション、最終プレゼン審査を通じて、審査員の方々などから有益なフィードバックを沢山もらえました。
特に、応募当時はほとんど検討できていなかったビジネスプランについての指摘をもらえたことがとても良かったです。当時審査員から受けた指摘は、今でも様々な企業にプレゼンする際に非常に役立っています。
JHeC2021 授賞式の様子
山本 政策統括調整官(左)、竹内さん(右)
ビジネスプランの検討が足りていないという課題を痛感しました。応募時点では、製品を作って、患者さんからフィードバックをもらって、改良を進める、という技術の話しかしていませんでした。JHeCへの参加を通じて、この製品をどうすれば社会に出せるのか、どうすれば社会の人たちに知ってもらえるのか、どうやって社会に普及し利用者の手に届けられるのか、という点を全く詰められていないという大きな課題に気づくことができました。先ほどお話しした通り、JHeCに参加してフィードバックをもらえたおかげで、今ではビジネスプランを具体的に示すことができるようになりました。
応募前は、経済産業省主催のコンテストということもあって、官の印象が強くお堅いイメージを持っていました。ただ実際に参加してみると、最終審査のプレゼンテーションに向けた丁寧なアドバイスなど事務局の方々には柔軟に対応していただけたのでそのイメージは無くなりました。
一次審査の会場には高校生の方もいたのも刺激になりましたね。解決するための製品やサービスづくりは荒削りでも社会課題を深く考えて良いアイデアを提案できればそれをしっかりと審査してもらえるコンテストなのだと強く感じました。もちろんアイデアを具体的なビジネスに落とし込んだ内容のプレゼンもありましたが、アイデアそのものを重視している印象が強く残っています。
しっかりした配信機材や照明の演出がある大きな舞台でプレゼンできたことも強く印象に残っています。豪華な環境の中で、目の前の審査員だけでなく画面の向こうの大勢の視聴者に対しても届くようにプレゼンをする機会は他のコンテストでもなかなか無かったため、緊張もしましたが非常にわくわくしました。
JHeC2021 竹内さんによるプレゼンの様子
正直、自分のアイデアはビジネスに全くできないと思っていた部分もあったのですが、JHeCでの経験を通じてビジネスとしてやっていく可能性を感じることができ、前向きな気持ちに変わりました。
現在は患者さんの意見を聞きながら、デバイスから喉に伝える振動の漏れを減らしたり、声の抑揚や音質を向上させたりといった技術的課題の解決に取り組んでいます。起業までにはもう少し時間がかかりそうですが、JHeCを通して、実際に起業する際にサポートしてくださる方々、相談に乗ってくださる方々とのつながりも得ることができたので、非常に心強く思っています。
コンテスト終了後には、複数の審査員の方々とミーティングをする機会をいただいて、事業化に向けた具体的なフィードバックをもらうことができました。審査員の方のご紹介で、世界各国の参加者が集まるオンラインイベントでのピッチの機会も提供していただきました。
また、サポート団体やJHeCグランプリ受賞のニュースを知って連絡してくださった複数の企業の方々ともお話することができて、実際の起業に向けた重要なつながりを得ることができたと考えています。
私の場合は既にモノが出来ている段階でアイデアコンテスト部門に応募しましたが、JHeCはまだ形になっていないアイデア段階の内容でも応募することができるコンテストです。自分が世のため、人のためになると考えているアイデアがあればぜひ応募して欲しいです。審査の過程で受ける指摘やアドバイスはアイデアをより具体的にビジネスとして形にしていくための良い機会にもきっとなります。
経済産業省が主催するビジネスコンテストと聞いて、既に起業していないと応募できない、具体的な製品ができていないと応募できないと、及び腰になってしまうかもしれませんが、JHeCのアイデアコンテスト部門ではそれらは本当に関係ないです!困っている人を助けたい、社会課題を解決したいという強い気持ちがあればぜひ応募して欲しいですね。今年のJHeC2022ではどんなアイデアが出てくるか、今から楽しみにしています!自分のように学生の方々からも沢山の応募を期待しています。
JHeC2021 グランプリ決定後のフォトセッション