【特集】InnoHub活用事例インタビュー|TXP Medical株式会社 受賞後の軌跡とInnoHubによる支援

ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト(JHeC)2022ビジネスコンテスト部門で優秀賞を受賞したTXP Medical株式会社について、同社の受賞後の軌跡と、InnoHubによる支援を通じた効果についてご紹介します。 TXP Medical株式会社 取締役COOの恩田淳(おんだ あつし)さんにお話を伺いました。


TXP Medical株式会社 メンバー集合写真

TXP Medical株式会社の事業について教えてください。

「医療データで命を救う」をミッションに掲げ、救急医療現場での情報のデジタル化、現場関係者間での情報共有、患者情報の構造データ化・リアルタイム解析などで命を救う医療データプラットフォームの構築・提供に取り組んでいます。

国内の救急搬送者数は年間約600万人。搬送先である病院の救急外来は24時間全診療科に対応し、入院患者の約1/3が通過する重要な場所であり、社会と病院の接点です。ここでは、紙中心の情報記録・伝達が主流となっており、デジタル化の余地が大きく残されたままになっていることが課題です。私たちは、テキスト/画像/音声解析などをはじめとした技術により、救急隊員や医療従事者の情報記録をデジタル化・構造データ化する一連のプロダクトを医療現場に提供しています。これらにより、救急現場と病院のコミュニケーションの可視化・円滑化や、病院内・救急外来における患者情報共有の効率化など、生産性と医療の質の向上に貢献しています。

また、これまでは紙でしか残っていなかった情報、電子化されてはいたが文章であるため利活用できなかった情報を構造データ化(文章から単語・記号・数値等を抽出して標準化・階層化すること)し、医学研究を促進する統合分析環境も提供しています。弊社の提供する医療データプラットフォームにより「命を救う研究」「世界を変える研究」がより多く世の中に発信されることを目指しています。

取り扱い製品・サービス

  • 急性期病院向け救急外来システム「NEXT Stage ER」
  • 救急医療情報システム「NSER mobile」
  • ICU患者ダッシュボード「NEXT Stage ICU」
  • がん診療データベースシステム「NEXT Stage Oncology」
  • 臨床研究用EDC構築・運用サービス
  • 急性期治験支援サービス
  • 臨床研究支援・リアルワールドデータ解析サービス

サービス紹介はこちら


TXP Medicalが取り組んでいる医療の課題
救急医療情報システム「NSER mobile」のシステム概要
TXP Medicalのリアルワールドデータ解析サービス

JHeC2022に応募したきっかけや期待はどの様なものでしたか?

もともと、代表で創業者の園生が医師として感じた医療現場のペインを、自分で作った病院向けのITシステムで解決し、そこからビジネスが進んでいったのが当社のはじまりです。代表が臨床経験豊富な医師ということもあり、病院向け製品については学会等を通じてよく知られ、製品の導入が進んでいました。一方で救急隊や製薬企業向けのプロダクト・サービスを展開するにあたっては、それぞれの業界での知名度が低いことが課題でした。そのため、これらの市場で知名度を上げ、信頼されることを目的にJHeC2022に参加いたしました。多くのピッチコンテストがある中でJHeCを選択した理由は、経済産業省が主催であることです。受賞すれば、箔がつき、ブランディングの向上にもつながると考えました。

JHeC2022でビジネス/アイデアコンテスト部門での受賞後、企業として、事業として、どのような変化がありましたか?

3つの変化があったと考えています。

まず、企業の認知度が向上しました。JHeCでの受賞後、問い合わせやSNS等のフォロワー数が増えました。企業の認知度の向上に繋がったのではないかと考えています。

次に、協業の成立に繋がりました。JHeCに聞きに来ていただいた方と商談し、新規サービスの検討やパイロットプロジェクトに繋がった例もあります。また、InnoHubのサービスを改めて知ることができ、自社で直接繋がりが無く、商談が困難な得意先へも、InnoHubからの紹介により商談を進めることができました。

最後に、社員のモチベーションが向上しました。JHeC2022の発表は、従業員がLIVEで見ていました。これは推測も入りますが、特に直接顧客との商談に出ない、バックオフィスの従業員にとっては、自社サービスが他者を魅了する瞬間を目の当たりにすることで、モチベーションの向上に繋がったのではないかと思います。

JHeC2022での受賞をきっかけに、Healthcare Innovation Hubによる伴走支援がありました。この支援によって、得られたもの、事業への効果、また要望を教えてください。

伴走支援では、地方自治体と製薬企業に対して、繋ぎを支援していただきました。自社のサービスには自信があるものの、商談に結び付かなければ意味がありません。一方で、それぞれ、商談には以下のような課題がありました。

地方自治体の場合、商談先の窓口に繋がっている人をピンポイントで探すことは難しいです。特定の部署へ連絡をお願いしても、なかなかアプローチできません。確実に連絡したいのであれば、直接窓口に行って呼び出すしかありません。

製薬企業も同様です。商談をする際にも、誰かしら知り合いはいるのですが、多くの場合、商談先の部署所属ではありません。商談先の部署の方で、ある程度責任のあるポジションの方は、人数も絞られ、なかなか直接アプローチすることができません。

こうした中で、InnoHubのサポーター団体には地方自治体がいるので、狙った部署に確実に商談に伺うことができ、助かりました。特に都道府県や政令指定都市を中心に多くの地方自治体に繋いでいただき、興味を持っていただいた地方自治体とは継続して商談を続けておりますし、中にはサービスの実証まで話を進めているものもあり、事業が大きく前進しました。

また、製薬企業に対しても、InnoHubの信用性の担保により、数多くの商談を実施することができ、助かりました。結果として、ターゲットとした部署への提案から、より具体的な提携の検討へと進んでいる商談もあり、製薬業界への事業展開が着実に進んでいます。

多くの助けを得られた一方で、InnoHubへの要望があるとすれば、地方自治体も、製薬企業も、サポーター団体への登録が限定的なため、登録数が増えるとよいと思いました。地方自治体の場合は、都道府県、政令指定都市レベルでの登録が増えるだけでも、助かると思います。

2023年以降の展望を教えて下さい。

2023年度以降、自社リソースを活用したサービス提供先を広げ、企業として大きく収益を上げていくことを目指しています。また、一部の事業については、海外への展開も視野に入れています。

これまでは、病院に対してDXソリューションを販売してきましたが、2022年12月より、製薬業界を対象に医療データを使ったこれまでにないソリューションの提供を始めました。2023年度は、この事業をマネタイズし、さらに成長させていきたいと考えています。

また、地方自治体に対しては、これまではサービスの良さを実感していただくために各地で救急医療情報システムの実証実験を行ってきました。2023年度以降は、実証実験を経た複数の自治体への本格導入と、その本格導入事例によるソリューションの横展開を目指しています。

今後、JHeCへの応募を検討されている方にメッセージをお願いします。

仮に賞が取れなかったとしても、そこで様々な学びを得られると思います。聞いてくださる方の立場になり領域の専門性が異なっても弊社の価値が理解いただけるように、何が事業の強みであるかをわかりやすくお伝えするピッチ資料を作ることで、自社の強みを整理するよい機会になると思います。

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